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物語の書き出し・クライマックス「のみ」を365本書いてみようという試み
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 克哉(かつや)が異常に気がついたのは三月ほど前のことになる。
 いつものように午前0時頃に就寝しようと電灯を常夜灯に切り替えた彼の耳に、かすかな音が聞こえてきた。

 かりかりかり。

 小さな、断続的に聞こえてくる何かをひっかくような音。
 起き上がって電灯を点け、部屋を探してみたが何も異常はない。五分ほどじっと耳を澄ましてみたが、蛍光灯のジーッという小さな音にかき消されたのか、謎の音は聞こえなくなっていた。
 もう一度常夜灯にすると、今度は聞こえない。
 このときは安心して眠ったのだが、その音は次の日も、またその次の日も絶えることなく聞こえ続けたのである。少々不快だが電灯を点け直すとひっかく音は聞こえなくなるので、気にしないでいた。
 だが、一週間前に彼は気づいてしまった。
 ひっかく音が、次第に近づいてきていることに。

 かりかり、かりかりかりかりかり。

 ああ、今日の音はまた昨日よりも近くから聞こえていないか?
 そんなことを考えると、もう克哉は眠れない。
 なめくじが這うような速度で、しかし着実に近づきつつある、かりかりという音。
 起きてからも、遠くから自分に近づいてはいないだろうか。

 かりかりかりかりかりかりかりかりかりかりかり……。

 もう克哉は眠ることどころか、落ち着いて部屋にいることすらできなくなっていた。
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