物語の書き出し・クライマックス「のみ」を365本書いてみようという試み
まるでサウナだわ。
瑞希は頭上五センチに浮かんだ脳味噌で考えた。
普段なら黒板に集中しているはずの真面目な優等生である彼女ですらこうなのだから、同じ補習を受けているクラスメートの太月勇馬が、見るからにやる気がなさそうなのも無理はない。何しろ教師ですら、早く冷房の効いた職員室に戻りたいと願っているのが端から見ても明らかなのだから。
「よし。今日の補習はここまで」
「ありがとうございました」
「……っしたっ」
午後二時二十分。
終了まで十分を残しているが、この状況で続けたところで大して変わりはないだろう。それに、補習を受けているのはたった二人だけなのだ。
外からは運動部員が出す声が、熱気と共に教室の中まで入ってくる。
「太月君。あなたはここに寝に来たの? それとも補習を受けに来たの?」
「うぇー……」
揺り起こされた少年は覇気のない声でうめいた。
「あちぃ」
瑞希は頬をつぅ、と伝って落ちそうになった汗をぬぐって彼の背中をばちん! と叩いた。
「鮎原」
「私だって暑いと思ってるわよ」
「ああ」
「ああって、あなた! なんでそんなにだらしない格好なの?」
勇馬のワイシャツの胸元は半ばまでだらしなく広げられ、その下から素肌が覗いている。彼は下から瑞希を見上げ、ぼそりと言った。
「水色」
「はぁ?」
「いや、下着の色。下もそう?」
反射的に瑞希は勇馬を椅子からたたき落としていた。
瑞希は頭上五センチに浮かんだ脳味噌で考えた。
普段なら黒板に集中しているはずの真面目な優等生である彼女ですらこうなのだから、同じ補習を受けているクラスメートの太月勇馬が、見るからにやる気がなさそうなのも無理はない。何しろ教師ですら、早く冷房の効いた職員室に戻りたいと願っているのが端から見ても明らかなのだから。
「よし。今日の補習はここまで」
「ありがとうございました」
「……っしたっ」
午後二時二十分。
終了まで十分を残しているが、この状況で続けたところで大して変わりはないだろう。それに、補習を受けているのはたった二人だけなのだ。
外からは運動部員が出す声が、熱気と共に教室の中まで入ってくる。
「太月君。あなたはここに寝に来たの? それとも補習を受けに来たの?」
「うぇー……」
揺り起こされた少年は覇気のない声でうめいた。
「あちぃ」
瑞希は頬をつぅ、と伝って落ちそうになった汗をぬぐって彼の背中をばちん! と叩いた。
「鮎原」
「私だって暑いと思ってるわよ」
「ああ」
「ああって、あなた! なんでそんなにだらしない格好なの?」
勇馬のワイシャツの胸元は半ばまでだらしなく広げられ、その下から素肌が覗いている。彼は下から瑞希を見上げ、ぼそりと言った。
「水色」
「はぁ?」
「いや、下着の色。下もそう?」
反射的に瑞希は勇馬を椅子からたたき落としていた。
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