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物語の書き出し・クライマックス「のみ」を365本書いてみようという試み
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 かなみは魚を嫌いだと言った。
「だって、死体を焼いて食べるのよ? 信じられないわ」
 そのくせに、切り身の魚は平気だ。現に今目の前で、しゃけの切り身をほぐしてぱくぱくと食べている。
 彼女の言行不一致はいつものことだったが、なんとなく気になったので聞いてみることにした。
「じゃあ、焼き肉もダメ?」
「火葬場で焼いている気分になるわね」
「……弁当を食っているときに相応しい言葉じゃないと思うな」
「別に平気だけど?」
 きっと彼女の神経はブリキでできているに違いない。鋼と言うほど強靱ではないことを僕は知っているし、金や銀だと思えるほど繊細な代物でもないことは今の言葉からも明らかだ。
「とにかくね。あの恨めしそうな目で見つめられると、やめて! あたしが悪かったわって気分になっちゃうの。それがどんどん白くなって濁っていくのを見ると、あたしの目まで白くなるんじゃないかと鏡を見て確かめたくなるの」
「そんなにずっと見つめなきゃいいじゃないか」
 と僕が言うと、
「だって、魚はすぐ焦げるのよ?」
 と答える。火加減という言葉を彼女は知らないようだ。
「全力全開、さっと焼き上げるのが料理ってものでしょう」
 彼女はそう言うけれど、どこかピントがずれている。
 とんびが、ぴーひょろろと鳴き声をあげながら、くるりと輪を描いた。
「いい天気ね」
「いい天気だね」
 僕たちは、こんな日々がずっと続くものだと思っていた。
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